THE GOLDEN LEGEND |
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本展は、地中海地域に花開いた文明―ギリシャ、トラキア、エトルリア、ローマ―が生み出した金製品の紹介です。 黒海沿岸の町、ブルガリアのヴァルナで発見された世界最古の
(今から約6000年以上前) 金製品を出土した状態に復元して展示するほか、複雑な模様の金線細工を得意とした古代ギリシャの装身具類、黄金文明とたたえられるトラキアの遺宝群、そして比類ない粒金細工技術を誇ったエトルリアの腕輪など、多岐にわたる文明や地域の作品で構成される、意欲的かつ画期的な展覧会です。 |
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会期: 2015 10/16 [金]〜2016年 1/11 [月・祝] 展覧会は終了しました。 |
「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」の開会式 & プレス内覧会の館内風景の画像です。 |
「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」 |
金の永遠の輝きをめぐる伝説 |
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【展覧会の構成】 ― 「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」図録、などからの抜粋文章です ― |
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古代の黄金の傑作が一堂に会します。 ギリシャ出土の金製品を中心にジュエリー、食器、武具、祭器など、バラエティに富んだラインナップです。 金製品が生み出された地域と時代も、広範にわたります。
古代ギリシャ・ローマはもちろんのこと、はるか昔の黒海の遺跡からエトルリア、トラキアまで、地中海周辺に花開いた古代文明の金製品を4000年以上のスパンで紹介します。 |
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「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」の展覧会構成 |
「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」のプレス内覧会の館内風景の画像と、「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」図録・出典資料などからの抜粋文章です。 |
第1章 世界最古の金 |
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・3 エラスムス・クエリヌス(1607-1678) 《金の羊毛を手にするイアソン》 1636-1638年 油彩、カンヴァス 181 x 195cm |
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エラスムス・クエリヌスは17世紀アントウェルペンで活躍した画家のひとりである。 一世代上のルーベンスや、弟の彫刻家アルトゥスを通して、イタリアのバロック美術を吸収しつつ、自身の画風を確立した。 フランドルの教会や修道院のために、カトリック改革 (対抗宗教改革) の思想を示す祭壇画を多数制作する一方、歴史や神話、寓意等、幅広い主題を描いた。 本作に描かれるのは、マルス神殿に守られていた金羊毛を獲得し、意気揚々と歩くイアソンである。 |
第2章 古代ギリシャ |
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・左28 《耳飾り一対》 青銅器時代初期、紀元前2400年-紀元前2200年 金 高さ 7.85/6.9cm |
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これらの宝飾品は、エーゲ海北東部のレムノス島の町ポリオクニに住んでいた富裕層の女性が身につけていたものである。 耳飾りは 「ポリオクニの宝物」 と呼ばれる425グラムの金と銀の宝飾品の一部で、建物内のピトスという貯蔵用の甕に隠されていた水差しの中から発見された。ポリオクニは、主に鉱物資源の貿易によって繁栄したヨーロッパ最初期の原始都市であった。 |
第3章 トラキア |
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・190 両把手付の大型容器(カンタロス) 紀元前14世紀後半-紀元前13世紀初期 金 高さ 22.4cm、重さ 4.395g |
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ヴァルチトラン黄金遺宝 (NO.190-NO.202) は、世界的に最もめずらしく、興味深い金細工製品のひとつである。 遺宝は13の器物からなり、その総重量は12.425キロにもなる。 合金成分は、88.15パーセントの金、9.7パーセントの銀、1.74パーセントの銅、0.4パーセントの鉄である。 この有名なヴァルチトラン黄金遺宝は、ブルガリア最古の博物館であるソフィア考古学博物館の中でも最も貴重なものである。 遺宝は大きさ、形ともさまざまであり、世界最大級・最古の遺宝のひとつであると考えられている。 |
第4章 エトルリアと古代ローマ |
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・279 《ディアデマ》 1世紀-3世紀 金 長さ 54cm、高さ 3.2cm(マウント除く) ケルチ、南ロシア ライデン国立古代博物館 |
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このディアデマ (古代ギリシア神話の神ディオニュソスが始めるとされるはちまき) はきわめて薄い金の板で作られているため、実際に身につけることは不可能である。 本作は故人の頭に載せるために作られた副葬品としての装身具だった。このディアデマは菱形模様で覆われており、波状紋が表された6枚の木の葉が貼りつけられている。 ディアデマの中央には、壺とその両脇に一匹ずつ動物が描かれている。 |
“金の羊毛” “黄金の雨” “黄金の林檎” |
“金の羊毛” をめぐる伝説 (プレス内覧会館内風景) |
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金の羊毛をめぐる物語は、オウィディウスの 『変身物語』 第7巻をはじめ、細部の異なるさまざまなテクストに記されている。 発端となった逸話はアポロドロス
『ギリシャ神話』 第1巻、[.1によると、ボイオティアの王妃イーノーは、夫であるアタマス王が先妻ネフェレーとの間にもうけた息子プリクソスを計略によって殺そうとした。
このとき、ネフェレーはヘルメスより授かった空飛ぶ金の雄羊をプリクソスに与え、妹ヘレーとともに逃がしたという。 途中でヘレーは海に墜落したが、プリクソスは黒海の東端コルキスに到達し、そこの王アイエテスの娘婿として迎えられる。
その後、プリクソスは羊をゼウスに捧げ、羊毛はアイエテスに贈った。 |
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“金の羊毛” をめぐる伝説の中では、金をめぐって実際に行われていた貿易や取引が、テッサリアと黒海――すなわちギリシャとコルキスの―― それぞれの王家に関連づけられました。 すなわち、この伝説ではイアソンとメディアは結ばれ、メディアはイアソンに金の羊毛の秘密を教えるのです。 メディアが教えた秘密は黒海地域の川や小川に含まれた砂金を、羊毛を用いて採取する方法にほかならなかったのではないでしょうか。 この地方では砂金を取るときには、びっしりと毛で覆われた洋皮を浅瀬に浸して羊毛に砂金を付着させたからです。 引き上げられた羊毛は太陽光のもとで金色に輝いたことでしょう。 |
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参考資料:「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」図録・ 報道資料 など。 |
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